改定航空法とドローンスクールについて

改定航空法とドローンスクールについて

無人航空機(ドローン等。以下、ドローンという。)の飛行にあたっては、「航空機の航行の安全」及び「地上又は水上の人又は物件の安全」を確保することが求められ、これらに危害を及ぼすおそれのある飛行が規制又は禁止されています。
今までの航空法では、飛行空域が規制されており、「空港周辺」、「緊急用務空域・高度150m以上の空域」、「人口密集地帯上空(DID地区)空域」を飛行する場合は国土交通大臣の許可が必要となり、「夜間」「目視外」「人・物件との距離が30m未満」「イベントの上空」「危険物の輸送」「物件の投下」の飛行方法をとる場合(これらの飛行を「特定飛行」という。)は国土交通大臣の承認が必要となります。その要件は「無人航空機の飛行に関する許可・承認の審査要領」で公表されていますが、立入管理措置を講じない「第三者の上空」の飛行は、原則禁止されています。
以前までは、ドローンを操縦するにあたり、国土交通省航空局のホームページに掲載されている無人航空機を操縦する操縦者に対する講習等を実施する講習団体から10時間以上の飛行訓練等を受け、航空法関係法令に関する知識を有する操縦者が、第三者の立入管理措置が取られている等の様々な要件を満たすことで、飛行の許可・承認(包括承認を含む)を得たのち、その運航を行っていました。
令和4年12月5日にドローンを飛行するにあたり、航空法が改められました。改正航空法の下では、ドローンによる飛行は、リスクの低いほうから「カテゴリーⅠ」「カテゴリーⅡB」「カテゴリーⅡA」「カテゴリーⅢ」の4つにわけられ、「機体」・「操縦者」・「運航管理」のそれぞれについて資格やルールが定められました。従来許可・承認が必要であった飛行は「カテゴリーⅡB」及び「カテゴリーⅡA」とされています。従来の許可・承認制度は暫く存続しますが、近い将来には新制度が定着すると考えられています。
新制度の特徴は、①飛行リスクに応じてリスクの低いほうからカテゴリーⅠ・Ⅱ・Ⅲの3つに区分して規制を設けたこと②これまで個別の飛行について許可・承認をしていた飛行空域と飛行方法につき、機体認証制度と操縦者ライセンス制度を設け、一部許可・承認が不要となったことです。
カテゴリーⅠの説明としては航空法上、許可・承認が必要としない特定飛行に該当しない飛行のことをいいます。
カテゴリーⅡの説明としては、最大離陸重量が25kg未満の特定飛行のうち、「目視外、夜間、DID地区、人・物件との距離が30m未満の飛行」の飛行については、カテゴリーⅡBに分類され、定められた資格(二等無人航空機操縦士の技能証明)やルール(第三者立入管理措置・第二種機体認証)を満たせば、原則として個別の許可・承認は不要となります。最大離陸重量が25kg未満の「特定飛行のうち、空港周辺、緊急用務空域・高度150M以上、危険物の輸送、物件投下」の飛行については二等技能証明・立入管理措置・第二種機体認証を満たしたうえで個別の許可・承認が必要となります。
カテゴリーⅢとは、特定飛行における、第三者のいる上空を、立入管理措置を講じることなく飛行することを言います。つまり、資格(一等無人航空機操縦士技能証明)を有した操縦者は、運行ルールに従い、第一種機体認証された機体を第三者の立入管理措置を講じることなく飛行することが可能となりました。その際、飛行ごとに国土交通大臣が運航の管理が適切に行われるものと認められた許可・承認が必要となります。
今後は、ドローンを飛行させるにあたり、操縦者の技能証明が必要となり、その取得には登録講習機関にて、飛行するにあたっての行動規範、安全管理体制、法令・規則、限定についての知識などを学び、操縦技能の訓練受ける必要があります。
無人航空機の登録講習機関は、全国のドローンスクールのうち、国土交通省の登録基準を満たした講習機関のことで、一定の大きさの実習空域があり、直近2年間での一定飛行実績等を有する18歳以上の講師がいることが、登録基準となります。
以下は具体的な飛行実績となります。
【講師に必要な実績】
  一等:⑴直近2年間の飛行実績
       1年以上の飛行実績+100時間以上の飛行時間
     ⑵講師としての経歴・・・1年以上
  二等:⑴直近2年の飛行実績
       6カ月以上の飛行経験+50時間以上の飛行時間
     ⑵講師としての実績・・・6カ月以上
国は、無人航空機を飛行させるために必要な知識及び能力を有することを証明する制度(技能証明)を創設し、令和4年12月5日より制度は施行されました。技能証明は国が指定する者(指定試験機関)が行います。国の登録を受けた講習機関の講習を修了した場合は実地試験が免除されます。技能証明は一等及び二等に区分し、有効期間は3年となります。
以下は登録講習機関における必要講習時間数となります。

【講習時間】
一等技能証明:一等無人航空機操縦士
学科      初学者    18時間以上
             経験者     9時間以上
実地(基本)  初学者    50時間以上
             経験者    10時間以上
実地(目視外) 初学者     7時間以上
             経験者     5時間以上
     実地(夜間)  初学者     1時間以上
             経験者     1時間以上
     実地(25k以上)初学者      2時間以上
             経験者     1時間以上

二等技能証明:二等無人航空機操縦士
学科      初学者    10時間以上
             経験者     4時間以上
実地(基本)  初学者    10時間以上
             経験者     2時間以上
実地(目視外) 初学者     2時間以上
             経験者     1時間以上
     実地(夜間)  初学者     1時間以上
             経験者     1時間以上
     実地(25k以上) 初学者     2時間以上
   経験者     1時間以上

これらの講習を受講し、修了検定に合格することで実地試験が免除され、指定試験機関が実施する学科試験に合格すると技能証明が付与されます。

弊社は、ドロースクール開校するにあたり、現時点では①講習実施場所が狭小であること②実績のある指導員がいないため、登録講習機関としての要件は満たされておりません。よって、上部団体である「ドローン検定協会」のもと、初学者を対象にした10時間以上の飛行訓練(検定協会の基礎技能講習)と座学を実施する教習所を運営し、実績を積み重ねたのち、登録講習機関を目指していきたい。

なお、現時点(令和5年6月16日時点)で、1500ある講習団体のうち488団体がすでに登録講習機関として認定されております(下記URL参照。検定協会も二等登録講習機関として認定済み)。

   https://www.mlit.go.jp/koku/content/001520574.xlsx